
会社設立後は税金や社会保険関係で様々な届出等が必要になりますが、年間でもやらなくてはいけないことは沢山あります。
そこで今回は、経理の年間スケジュールをご紹介します。
年間スケジュール
一点注意しなくてはいけないのが、決算月は任意に設定することができます。そのため、決算対応は決算月によって対応時期が多いため注意しましょう。
ここでは、決算月としてよく選ばれる3月を決算月とし、決算月によって前後する作業には「★」を記載してあります。
1月
- 固定資産税の償却資産に関する申告
- 源泉所得税の納付
- 法定調書・給与支払報告書の提出、支払調書の作成・提出
固定資産税の償却資産に関する申告
毎年、1月1日時点で保有している償却資産の内容を都道府県税事務所に届け出ます。
償却資産とは、土地・建物以外の事業用資産のこと、例えば、パソコンや応接セット、コピー機、工場の機械などが該当します。
償却資産は土地や建物とともに、固定資産税が課されますが、150万円未満は免税になります。免税になっても申告は必要になるため注意しましょう。
- 期限:1月31日
源泉所得税の納付
従業員から7月~12月に源泉徴収した所得税を、半年分まとめて納付します。
本来は、毎月の源泉所得税を翌月10日までに納付しなければなりませんが、従業員数が常時10人に満たないマイクロ法人の場合は、7月と1月に半年分をまとめて納付することができます。
ただし、88,000円以下であれば源泉徴収を支払う必要はありません。
- 期限:1月20日
法定調書・給与支払報告書の提出、支払い調書の作成・提出
法定調書とは、源泉徴収票や不動産の使用料といった支払調書を税務署に提出します。
また、従業員に支払った年間給与額を給与支払報告書として各市区町村へ提出します。
国税庁 法定調書の提出期限等について
- 期限:1月31日
2月
固定資産税(都市計画税)(第4期分)を納付
固定資産税の納付期限は各市区町村が独自に決めることができるため、市区町村によって異なります。
自分の会社が支払わなければならない固定資産税の納付期限がいつなのか、必ず納税通知書で確認してください。固定資産税は年間納付額を4回に分割して納付するのが一般的です。
- 期限:納税通知書で確認(市区町村毎に設定)
3月
★実地棚卸
企業が所有する商品や原材料などの在庫を、実際に数えて確認する作業のことです。
通常は決算期に実施され、後続の決算整理のために重要な手続きです。
- 対応時期:決算日当日または決算日直前
4月
- 決算整理
- 財務諸表の作成
- 固定資産税(都市計画税)(第1期分)を納付
決算整理
決算月に棚卸で明らかにした在庫と帳簿残高とを確認し、差額があれば調整します。
また、年度中の取引の中で、不明な入出金があれば、その原因を突き止めて正しい会計処理を行います。
そして減価償却費の計上や勘定科目が適切か、など経理処理全体を見直します。
- 期限:適用される法律により異なる(通常2~3か月)
財務諸表の作成
決算整理の内容を元に、貸借対照表、損益計算書、株主資本等変動計算書など決算書と呼ばれる書類を作成します。
固定資産税(都市計画税)(第1期分)を納付
納付期限は各市区町村で異なる場合があります。
5月
- 法人税、消費税、法人事業税、法人住民税の確定申告と納付
- 株主総会の準備
★法人税、消費税、法人事業税、法人住民税の確定申告と納付
期末から2カ月以内に確定申告書を作成・提出し、同時に納税しなければなりません。
法人税、消費税は税務署に、法人事業税は各都道府県税事務所、法人住民税は各市町村へ提出します。
国税庁 申告と納税
株主総会の準備
株主総会が6月に開催されるため、それ向けて準備しましょう。
開催の1週間前までに、株主宛に開催通知を送ります。必要に応じて決算説明資料等の準備も行います。
6月
株主総会の開催
会社法の規定に基づき、株主総会が開催されます。株主に対して売上高、利益、前年比などの決算数値を報告します。
- 期限:事業年度終了後3か月以内
個人住民税の納付
納期の特例の適用を受けている場合 、6月10日までに社長や従業員から徴収した個人住民税の納付を行います。
7月
- 源泉所得税の納付
- 固定資産税(都市計画税)(第2期分)を納付
- 健康保険・厚生年金保険の定時決定
- 日本年金機構算定基礎届の提出
源泉所得税の納付
納期の特例の適用を受けている場合、1月から6月に徴収した源泉所得税をまとめて7月10日までに納付します。
国税庁 源泉所得税及び復興特別所得税の納付期限と納期の特例
固定資産税(都市計画税)(第2期分)を納付
納付期限は各市区町村で異なる場合があります。
健康保険・厚生年金保険の定時決定
7月10日までに、4月から6月までの各従業員の社会保険料合計額を日本年金機構に提出します。これを元に、9月以降の保険料が決まります。
日本年金機構算定基礎届の提出
8月・9月・10月
1年の内でもっとも落ちつく時期といえます。有給休暇等を利用してリフレッシュ期間にあてるようにしましょう。
11月
法人税、法人事業税、法人住民税の中間申告と納付
事業年度開始から6カ月を、経過した日から2カ月以内に中間納付として、直前期の納税額に応じて法人税等の前払いを行います。直前期の納税額のおおよそ半分を中間納付として支払い、決算期末の確定申告にも前払い分として考慮されます。仮に、当期の上半期で大きく赤字になったという場合は、仮決算を行い、納税額を少なくすることもできます。
消費税の中間申告と納付
直前期の消費税額が48万円超400万円以下の会社は、消費税の中間申告と納付を行います。法人税等と同様、一般的には直前期に納めた消費税額のおおよそ半額を納付します。
国税庁 中間申告の方法
12月
年末調整
1月~12月に従業員から徴収した所得税を、年間所得に基づき再計算し、徴収しすぎた場合は還付、不足分がある場合は追加で徴収します。生命保険料や住宅ローン、扶養人数の変更などを加味して調整します。
固定資産税(都市計画税)(第3期分)を納付
納付期限は各市区町村で異なる場合があります。
従業員の住民税の納付
納期の特例の適用を受けている場合、10日までに従業員の住民税を納付します。
おわりに
マイクロ法人の経理や事務手続きは、規模が小さいので、比較的簡単に行うことができます。しかし、年間スケジュールを把握し、余裕をもって準備を行うことが大切です。日々の取引記録を正確に行うことで、スケジュール通りに業務を進めることができます。クラウド会計を利用することで、効率的に経理や事務手続きを行うことができます。
