マイクロ法人の決算・確定申告は自分でできるのか?
結論から言えば、自分でできます。ただし、個人事業主の確定申告とは難易度がまったく異なることを覚悟してください。
筆者はマイクロ法人の初年度決算を税理士なしで完了しました。かかった時間は約65時間。簿記2級の知識がある状態でこれですから、経理未経験の方はさらに時間がかかるでしょう。
この記事では、実際に自力で決算を乗り切った経験をもとに、初年度の決算・確定申告の全手順を解説します。「どこまで自分でやって、どこからプロに頼むか」の判断材料にしてください。
法人決算のスケジュール:いつ何をすべきか
法人の決算は、個人事業主のように3月15日締切ではありません。法人は事業年度終了後2か月以内に確定申告書を提出する必要があります。
たとえば3月決算法人なら、申告期限は5月31日です。以下が決算スケジュールの目安です。
決算月の2か月前〜:日常の帳簿を整理
- 未処理の仕訳がないか確認
- 銀行口座の残高と帳簿の照合
- 領収書・請求書の整理
決算月:決算整理仕訳を行う
- 減価償却費の計上
- 前払費用・未払費用の計上
- 在庫の棚卸し(該当する場合)
- 法人税等の概算計上
決算月の翌月:決算書を作成
- 貸借対照表(B/S)の作成
- 損益計算書(P/L)の作成
- 株主資本等変動計算書の作成
- 勘定科目内訳明細書の作成
決算月の翌々月:申告書を提出
- 法人税申告書の作成・提出(税務署)
- 法人住民税・事業税申告書の提出(都道府県・市区町村)
- 消費税申告書の提出(課税事業者の場合)
必要なツール:会計ソフト+法人税申告ソフト
会計ソフト(日常の帳簿付け〜決算書作成)
マイクロ法人の帳簿付けにはクラウド会計ソフトが必須です。おすすめは以下の3つです。
- 弥生会計オンライン:初年度無料。税理士との連携に強い
- freee会計:簿記知識不要のUI。スマホ対応が充実
- マネーフォワードクラウド会計:仕訳精度が高い。バックオフィス全体をカバー
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弥生会計オンラインは初年度無料のセルフプランがあり、マイクロ法人の初めての決算にぴったりです。
関連記事:マイクロ法人におすすめの会計ソフト比較【2026年版】
法人税申告ソフト(申告書の作成)
会計ソフトで作成できるのは決算書(B/S・P/L)までです。法人税申告書は別のソフトが必要になります。
- 全力法人税:年間19,800円。マイクロ法人に特化しており、画面の指示に従うだけで申告書が完成
- freee申告:freee会計と連携して申告書を作成
筆者は弥生会計オンライン+全力法人税の組み合わせで初年度決算を完了しました。全力法人税は質問に答えていくだけで別表が自動作成されるため、税務知識が少なくても対応可能です。
初年度決算のつまずきポイント5選
1. 決算整理仕訳がわからない
日常の仕訳は会計ソフトが自動でやってくれますが、決算整理仕訳は自分で考える必要があります。特に減価償却と法人税等の未払計上は初心者がつまずきやすいポイントです。
弥生会計オンラインなら固定資産の登録時に減価償却費を自動計算してくれるので、大きな助けになります。
2. 勘定科目内訳明細書の作成
法人税申告には決算書だけでなく、勘定科目内訳明細書(預貯金、借入金、役員報酬などの明細)の添付が必要です。これは会計ソフトから自動出力できないケースが多く、手作業で作成する必要があります。
3. 法人住民税の別申告
法人税は税務署に提出しますが、法人住民税と事業税は都道府県と市区町村に別途提出する必要があります。申告書の様式も異なるため、提出漏れに注意してください。
4. 消費税の判定
マイクロ法人の設立初年度は、資本金1,000万円未満なら原則として消費税の免税事業者です。ただし、インボイス登録をしている場合は課税事業者となり、消費税申告が必要になります。
関連記事:マイクロ法人とインボイス制度:登録する?免税事業者?最適解を徹底解説
5. e-Taxでの電子申告
法人税の電子申告(e-Tax)は、利用者識別番号の取得から電子証明書の設定まで、初回のセットアップが面倒です。ただし、一度設定してしまえば2年目以降は楽になります。郵送でも提出可能ですが、電子申告の方が処理が早く、控えも即座に取得できます。
自分でやるか、税理士に頼むかの判断基準
自力でやれる条件
- 簿記2級以上の知識がある(または学ぶ意欲がある)
- 取引件数が月10件以下でシンプル
- 消費税は免税事業者
- 固定資産がほとんどない
- 決算に65時間以上の時間を投資できる
税理士に頼むべき条件
- 経理の経験がまったくない
- 本業の時給が3,000円以上
- 消費税の課税事業者
- 節税対策のアドバイスも欲しい
- 税務調査への対応力を確保したい
関連記事:マイクロ法人の税理士選び方ガイド|丸投げvs自分で確定申告
「折衷案」が最もおすすめ
筆者の経験から最もおすすめなのは、日常の記帳は自分でやり、決算・申告だけ税理士にスポットで依頼する方式です。
- 日常の記帳:会計ソフトの自動仕訳で月1〜2時間
- 決算・申告:税理士にスポット依頼(10万〜15万円)
この方式なら、自力で全部やるよりも安心感があり、顧問契約を結ぶよりもコストを抑えられます。初年度は自力でチャレンジしてみて、難しいと感じたら2年目から税理士に依頼するのも一つの手です。
まとめ:初年度の決算は「最高の学びの機会」
マイクロ法人の決算を自分でやることは、確かに大変です。しかし、自分の会社の数字を隅々まで理解できるという意味で、これ以上の学びの機会はありません。
筆者は初年度に自力で決算を経験したことで、2年目以降に税理士に依頼する際も「何を依頼しているのか」を理解できるようになりました。時間と労力に余裕がある方は、ぜひ一度チャレンジしてみてください。
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