マイクロ法人を作る最大の目的のひとつが「社会保険料の最適化」です。そしてその社会保険料は、役員報酬をいくらに設定するかでほぼ決まります。結論から言うと、社会保険料を最安に近づけたいなら標準報酬月額の最下級に近い水準(低めの役員報酬)に設定するのが基本。ただし、報酬を下げすぎると将来の年金額や手取りに影響するため、トレードオフを理解して決める必要があります。
この記事は、2022年に合同会社(プラバース合同会社)を設立し、2月決算でひとり法人を運営している筆者が、役員報酬と社会保険料の関係・最適額の考え方・実際に設定している金額(月38,820円)とその理由・報酬別の早見表・注意点を整理したものです。社会保険料や税額の正確な計算は等級や地域で変わるため、最終的な設定額は税理士にご確認ください。
結論:社保最安を狙うなら役員報酬は「低め固定」が基本
- 役員報酬を低くすると標準報酬月額が下がり、社会保険料(健康保険・厚生年金)を抑えられる。
- 協会けんぽ(東京・2026年度)の健康保険の標準報酬月額は最下級58,000円から。低めの報酬なら社保は会社・個人合計で月1.5万円前後に収まるケースもある(出典:ほまれ税理士法人)。
- ただし報酬を下げるほど将来の厚生年金は減り、手取りも減る。事業の利益や生活費とのバランスで決める。
- 役員報酬は事業年度の開始から3か月以内に決め、その後は毎月同額(定期同額給与)にする必要がある。
役員報酬と社会保険料の関係(標準報酬月額の仕組み)
社会保険料は、役員報酬そのものではなく「標準報酬月額」という区分(等級)をもとに計算されます。報酬を一定の幅ごとに区切り、その区分に対応した保険料率をかける仕組みです。報酬を低く設定すれば低い等級になり、保険料も下がるというわけです。
個人事業主の国民健康保険は所得が増えるほど高くなりますが、法人化して社会保険に入り、役員報酬を抑えれば保険料をコントロールできます。さらに、一定の条件を満たす家族を扶養に入れれば、その家族分の保険料負担を抑えられる場合もあります(出典:IDEMAE/GVA)。これがマイクロ法人による社会保険料最適化の基本構造です。
【一次データ】私が役員報酬を月38,820円にしている理由
筆者のプラバース合同会社では、役員報酬を月38,820円(定期同額・毎月10日支給)に設定しています。理由は次の通りです。
- 社会保険料を最小水準に抑えるため:報酬を低く固定することで、標準報酬月額を最下級に寄せ、毎月の社会保険料負担を軽くしている。
- 定期同額給与の要件を満たすため:役員報酬は期首から3か月以内に決め、その後は毎月同額にしないと損金算入で不利になる。だから年度途中で気分で変えない。
- 法人に利益を残し、事業の体力にするため:報酬を取りすぎると個人の税・社保が増える。ひとり法人の段階では、必要最小限の報酬にして法人側を厚くする設計にしている。
実際に運営してみると、「役員報酬を低くする=手取りを我慢する」だけでなく、社会保険・所得税・法人税のバランスをどこで取るかという設計の問題だと分かります。生活費を法人の利益とどう配分するかは人によって最適解が違うので、ここは数字を出して比較するのが大事です。
役員報酬別シミュレーション早見表(概算)
役員報酬の水準ごとの傾向を、ざっくり早見表にしました。金額は2026年時点の概算・傾向であり、正確な保険料・税額は等級表と個別事情で変わります(要・税理士確認)。
| 月額役員報酬 | 社会保険料の傾向 | 向いている人 |
|---|---|---|
| 約5〜6万円(最下級付近) | 最小水準(会社+個人で月1.5万円前後の例) | 社保最安を最優先。別に本業所得がある人 |
| 約8〜10万円 | やや増えるが依然低め | 最低限の年金も少し確保したい人 |
| 約15〜20万円 | 中程度 | 法人の利益と個人の手取りを両立したい人 |
| 約30万円以上 | 大きくなる | 個人の手取り・年金を重視する人 |
複数パターンの手取りシミュレーションは専門サイトでも公開されています(出典:役員報酬の手取りシミュレーション)。自分の生活費・他の収入・年金の考え方を踏まえて、どの水準が最適かを決めましょう。
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役員報酬を決めるときの注意点
- 将来の年金が減る:厚生年金は報酬に連動するため、低く設定すると受給額も下がる。
- 定期同額のルールを守る:期首3か月以内に決定し毎月同額。途中変更は原則損金不算入のリスク。
- 住民税・所得税とのバランス:報酬が増えれば個人側の税・社保も増える。法人税とあわせた総額で考える。
- 扶養・他の所得との兼ね合い:本業や配偶者の扶養状況で最適解が変わる。
このあたりは個別事情の影響が大きく、判断を誤ると数十万円単位で結果が変わります。最適額の最終決定は、自分の数字を見せて税理士に相談するのが確実です。マイクロ法人向けに料金を抑えた事務所なら、無料見積もりで費用感も確認できます。
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よくある質問(FAQ)
マイクロ法人の役員報酬はいくらが最適ですか?
社会保険料を最安にしたいなら、標準報酬月額の最下級に近い低めの設定が基本です。ただし年金や手取りとのトレードオフがあるため、事業の利益や生活費を踏まえて決める必要があります。最終額は税理士への相談がおすすめです。
役員報酬を0円にできますか?
制度上は0円も可能ですが、その場合は社会保険に加入できず、マイクロ法人で社保最適化を狙うメリットが得られません。社会保険に加入しつつ保険料を抑えるには、低めの定期同額報酬を設定するのが一般的です。
役員報酬は途中で変更できますか?
原則として事業年度の開始から3か月以内に決め、その後は毎月同額にする必要があります。期中の変更は損金不算入などのリスクがあるため、慎重に判断してください。
社会保険料は具体的にいくらになりますか?
標準報酬月額の等級と地域の保険料率で決まります。低めの報酬なら会社・個人合計で月1.5万円前後に収まる例もありますが、正確な金額は等級表と個別事情によるため、税理士または年金事務所でご確認ください。
まとめ
マイクロ法人の役員報酬は「社保最安を狙う低め固定」が基本ですが、年金・手取り・法人の利益とのバランスで最適解は変わります。筆者は月38,820円で運営していますが、これはあくまで一例です。設立後は税理士費用や設立コストも関わってくるので、あわせて見据えておくと運営の全体像がつかめます。
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【運営者情報】本記事は、2022年に合同会社を設立し2月決算のひとり法人を運営する筆者(プラバース合同会社)が、自身の運営経験と2026年時点の公開情報をもとに作成しました。記載の金額・制度は一般的な目安であり、社会保険料・税額の正確な計算と最適な役員報酬の決定は、税理士または年金事務所・所轄税務署にご確認ください。本記事には広告(アフィリエイトリンク)を含みます。

