マイクロ法人の均等割とは?赤字でも毎年約7万円【2026】

マイクロ法人の均等割とは?赤字でも毎年約7万円【2026】|税務・節税 税務・節税
マイクロ法人の均等割とは?赤字でも毎年約7万円【2026】

マイクロ法人を運営していて、多くの人が「利益が出ていないのに、なぜ毎年税金を払うのか」と戸惑うのが法人住民税の均等割です。均等割は、たとえ赤字決算であっても法人が存続する限り毎年必ず発生する固定的な税金で、資本金1,000万円以下・従業者50人以下の一般的なマイクロ法人であれば最低でも年間およそ7万円がかかります。この記事では、均等割とは何か、金額の内訳、なぜ赤字でも払うのか、いつどうやって納めるのか、そしてマイクロ法人の損益分岐や維持コストにどう効いてくるのかまでを、2026年時点の制度にもとづいて整理します。

均等割とは?まず結論から

法人住民税(都道府県民税・市区町村民税)は、大きく「均等割」と「法人税割」の2つで構成されます。このうち均等割は、法人の所得(もうけ)とは無関係に、資本金等の額と従業者数によって金額が決まる部分です。所得に税率をかける「法人税割」が赤字ならゼロになるのに対し、均等割は会社がそこに存在していること自体に対してかかる会費のような税金だと考えると理解しやすいでしょう。

そのため、売上がまだ立っていない設立初年度や、経費が先行して赤字になった年でも、均等割は原則として発生します。マイクロ法人を「作って持っているだけ」でも毎年一定のコストがかかる、というのが均等割の本質です。標準税率であれば、この最低額が年70,000円になります。

均等割の金額はいくら?内訳と早見表

標準税率における均等割の最低額7万円は、次のように「道府県民税分」と「市町村民税分」に分かれています。

  • 道府県民税の均等割:20,000円(資本金等1,000万円以下の場合)
  • 市町村民税の均等割:50,000円(資本金等1,000万円以下・従業者50人以下の場合)
  • 合計:70,000円(年額)

金額は「資本金等の額」と「従業者数」の組み合わせで段階的に上がります。マイクロ法人はほぼ全てが下表の一番上の区分(資本金1,000万円以下・従業者50人以下)に当てはまるため、目安は年7万円と覚えておけば十分です。

資本金等の額 従業者数 道府県民税・均等割 市町村民税・均等割 合計(年額・標準税率)
1,000万円以下 50人以下 20,000円 50,000円 70,000円
1,000万円以下 50人超 20,000円 120,000円 140,000円
1,000万円超〜1億円以下 50人以下 50,000円 130,000円 180,000円
1,000万円超〜1億円以下 50人超 50,000円 150,000円 200,000円

ここで示したのはあくまで「標準税率」の金額です。自治体によっては均等割に超過税率を上乗せしている場合があり、その分だけ実際の負担が数千円ほど増えることがあります。正確な税額は、本店(事業所)の所在地を管轄する都道府県・市区町村の公式サイトで確認するか、直接問い合わせるのが確実です。資本金を1,000万円ちょうどではなく1,000万円以下に抑えると最低区分に収まるため、設立時の資本金設定は均等割の観点でも意味を持ちます。

なぜ赤字でも払わなければならないのか

「赤字なのに税金がかかるのはおかしいのでは」と感じる方は少なくありませんが、これは均等割と法人税割の性格の違いから来ています。

法人税割は赤字ならゼロ

法人税割は、法人税額(=所得に応じて計算される国税)をもとに計算されます。所得が赤字であれば法人税自体がゼロになり、それに連動する法人税割もゼロです。つまり「もうけに対する税金」は、もうけがなければ発生しません。

均等割は「存在」に対する定額負担

一方で均等割は、地方自治体が提供する行政サービス(道路・消防・上下水道などのインフラ)の受益者として、法人が地域に事業所を構えていること自体に対して求められる定額の負担です。もうけの有無とは切り離されているため、赤字でも休業に近い状態でも、法人が登記上存続している限りは毎年課税されます。これが、個人事業主にはない「法人を持つことの固定コスト」の代表例になります。

均等割はいつ・どうやって納めるのか

均等割は、法人住民税の一部として決算後の確定申告と同時に申告・納付します。納付期限は原則として事業年度終了日の翌日から2か月以内です。たとえば3月末決算の法人なら、5月末までに申告と納税を済ませることになります。都道府県分と市区町村分は、それぞれの自治体に対して申告・納付します(東京23区内は都税として一本化されています)。

設立初年度は月割になる

設立してから最初の事業年度は、1年に満たないことがほとんどです。この場合、均等割は事業年度の月数に応じた月割で計算されます(1か月未満の端数は切り捨て)。たとえば設立から期末までが6か月であれば、標準額7万円 × 6/12 = 35,000円が初年度の均等割の目安になります。設立月を期末から逆算して調整すると、初年度の均等割をわずかに圧縮できる余地があります。

均等割はマイクロ法人の損益分岐にどう効くか

マイクロ法人の最大の狙いは、役員報酬の設計による社会保険料の圧縮や、経費計上の幅を広げることで手取りを増やすことにあります。ただし、その節税メリットは均等割という固定コストを差し引いた後で評価しなければなりません。年7万円は、社会保険料や所得税の削減効果と相殺してもなお得になるだけの規模がなければ、法人を維持する意味が薄れてしまうからです。

下表は、均等割だけを最低額(年7万円)で見たときの累計負担の目安です(初年度の月割や超過税率、税理士費用・法人口座維持などの他コストは含みません。あくまで均等割単体の粗い試算です)。

期間 均等割の累計(標準7万円/年で試算) 備考
初年度(6か月と仮定) 約35,000円 設立月により月割
2年目まで累計 約105,000円
3年目まで累計 約175,000円
5年目まで累計 約315,000円

このように、設立費用を工夫してゼロ円近くに抑えても、維持コストは別に毎年発生し続ける点は見落とされがちです。均等割だけで5年間に30万円超が積み上がるため、「法人化して何年でこの固定費を上回る節税ができるか」を最初に見積もっておくことが、マイクロ法人を損なく運営するコツになります。損益分岐の考え方はマイクロ法人は年収いくらから得かで、社会保険料側の圧縮効果は社会保険料最適化の記事で詳しく整理しています。

均等割を減らす・止める方法はあるのか

均等割は定額負担のため、「もうけを抑えれば減る」性質のものではありません。それでも、負担を軽くしたり止めたりする方法として現実的なのは次のとおりです。

資本金を1,000万円以下に抑える

前述のとおり、資本金等の額が1,000万円を超えると均等割の区分が一段上がり、最低額が18万円へと跳ね上がります。マイクロ法人であれば資本金は数万円〜数百万円で設定するのが一般的で、この壁を意識するだけで最低区分(年7万円)に収まります。

休眠・解散という選択肢

法人を使わなくなった場合、休眠(事業を停止して登記だけ残す)という手段があります。ただし休眠しても均等割は原則として課税され続けるのが基本で、自治体によっては申請により免除・減免の運用がある場合もあります。均等割を完全に止めたいなら、最終的には解散・清算の手続きが必要です。休眠・解散のいずれも登記や届出のコストがかかるため、「今後も法人を使うか」を含めて総合的に判断するのが賢明です。

そもそも法人化が必要かを見極める

均等割は法人特有のコストなので、事業規模が小さいうちは個人事業主のままの方が有利なケースもあります。設立の手順や初期費用を確認したうえで判断したい場合は、会社設立の費用を抑える方法や、決算・申告を自分でやる場合の負担感を決算・確定申告のガイドで把握しておくと、維持コストの全体像がつかめます。

よくある質問(FAQ)

Q. 設立して1年目、まだ売上がゼロでも均等割はかかりますか?

A. かかります。均等割は所得ではなく法人の存在に対する税金のため、売上ゼロ・赤字でも発生します。ただし初年度は事業年度の月数に応じた月割になります。

Q. 均等割の最低額7万円はどの自治体でも同じですか?

A. 標準税率であれば年7万円ですが、超過税率を採用している自治体では数千円程度上乗せされることがあります。正確な額は本店所在地の都道府県・市区町村で確認してください。

Q. 会社を休眠させれば均等割は止まりますか?

A. 原則として休眠中も課税されます。自治体によっては申請で減免される運用もありますが、完全に止めるには解散・清算が必要です。

Q. 均等割は経費(損金)になりますか?

A. 法人住民税の均等割は損金に算入できません(法人税の計算上、損金不算入です)。この点も維持コストとして見込んでおく必要があります。

まとめ

法人住民税の均等割は、マイクロ法人を持つ限り毎年ついてまわる固定コストです。要点を整理すると次のとおりです。

  • 均等割は所得と無関係の定額負担で、赤字でも標準で年7万円(道府県民税2万円+市町村民税5万円)かかる。
  • 金額は資本金等の額と従業者数で段階的に上がる。資本金1,000万円以下に抑えれば最低区分に収まる。
  • 納付は決算後の確定申告と同時、期限は事業年度終了日の翌日から2か月以内。設立初年度は月割。
  • 設立費用を抑えても維持コストは別に毎年発生する。均等割単体でも5年で30万円超になる点を損益分岐に織り込む。
  • 休眠しても原則課税は続き、止めるには解散・清算が必要。

「法人を持つと、もうけがなくても毎年7万円」という固定費をあらかじめ理解しておけば、マイクロ法人を作るべきか、いつ作るべきかの判断がぐっと現実的になります。設立前後の維持コスト全体を見渡したうえで、無理のない運営設計を組み立てていきましょう。

※本記事は2026年時点の制度にもとづく一般的な解説です。具体的な税額や手続きは自治体・事業年度により異なるため、正式な判断は管轄の自治体や税理士にご確認ください。

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